ポケモントレーナーの対戦中における目的は「勝つこと
(英:Victory)」である。
では、
勝てる試合運びを演出するためにパーティに組み込むポケモンとポケモンの間にどのようなものが求められているのか。
それに関して長きに渡り培った
PBSでの実践経験やパーティ鑑定経験を元に古巣の第二世代のみ、このコンテンツを用意した。
基本的な1対1、交代が絡んだ2対2、選出も絡む3対3でそれぞれ有利に立ち回るために必要なものさしを自分なりにまとめた。
既にポケモントレーナーとしてもパーティ鑑定士としても現役から離れつつあるが、構築の参考にして頂ければ幸いである。
- 1対1のポケモンバトル〜 対面で勝つ! 〜
- 2対2のポケモンバトル〜 受けで勝つ! 〜
- 3対3のポケモンバトル〜 選出で勝つ! 〜
1対1の強さとは、単純に
体力満タンの状態同士で有利に戦えるポケモンの種類の多さで決まるポケモンの
絶対的な強さです。
対峙したポケモンより
少ないターン数で倒せれば有利となり、
両方とも同じ回数が必要な場合は先攻のポケモンが有利になる。
【 1対1における有利 】
- 先攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 ≧ 自分が相手を倒すまでの必要ターン数
- 後攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 > 自分が相手を倒すまでの必要ターン数
対面しているポケモンとの1対1の行く末を知ることは、試合中のコマンド選択にあたって最初の大事な判断材料となる。
相手よりも素早く少ないターン数で勝つためには
ステータスの仕組みと
ターンの仕組みと
技の仕組みを十分に理解した上で、
相手より先攻を取る、相手より大きなダメージを与える、相手の攻撃技自体を回避するなどをして有利な対面を心がけたい。
相打ちを狙う技(じばく・だいばくはつ / みちづれ)
「じばく」「だいばくはつ」で相手を倒した場合や「みちづれ」を成功させた場合は引き分け(共倒れ)となる。
能動的な引き分け:
技名 | 威力 | 命中率 | PP | 効果 |
だいばくはつ | 250 | 100% | 5 | この技を使用したポケモンは瀕死状態になる。また、攻撃技を選択したターンのみ、このポケモンの攻撃対象となるポケモンの物理防御力を半分にして計算する。 |
じばく | 200 | 100% | 5 | 〃 |
受動的な引き分け:
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
みちづれ | ゴ | - | 5 | 自分が攻撃技のダメージで瀕死になると相手も瀕死になる。 |
相打ちなので有利ではないものの、不利な相手に対して背中を向けることが少なくなる。
また、このほかにも以下の要因で引き分け(共倒れ)になることがあります。
- 「すてみタックル」「とっしん」「じごくぐるま」で相手を瀕死にし、反動ダメージで自分も倒れる
- 滅びの歌のカウントが同時に0となる
- 砂嵐のダメージで同時に体力が0になる
- 両者共倒れ後に死に出しした両者のポケモンが撒きびしを踏んで同時に体力が0になる。
なお、任天堂が定めた公式ルールでは、
自分の戦える手持ちが1匹のときに「じばく」「だいばくはつ」「みちづれ」「ほろびのうた」を使用すると失格となる。
(※「ポケモンスタジアム金銀」及び「Pokemon Battle Simulator」では戦える手持ちが1匹の場合は「みちづれ」「ほろびのうた」自体が失敗します)
また、「ポケモンスタジアム金銀」では「すてみタックル」の反動で共倒れになった場合は攻撃側の勝利となります。
不利対面を覆す技 (カウンター・ミラーコート)
相手から受けた攻撃技のダメージの2倍の固定ダメージを与えることで不利対面と見える場面を覆すことができる。
ただし、物理攻撃力・特殊攻撃力の能力ランクアップから1発で倒されたり、身代わりを盾にされた場合は覆らない。
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
カウンター | 格 | 必中 | 20 | コマンドを選択したターンに受けた物理攻撃技のダメージを倍返しにする(※なお、GBの通信対戦のみ、「じわれ」「つのドリル」は命中しなかった場合でも命中した場合の2倍のダメージを返すことができる)【優先度 -1】 |
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
ミラーコート | エ | 必中 | 20 | コマンドを選択したターンに受けた特殊攻撃技のダメージを倍返しにする。 【優先度 -1】 |
「カウンター」は物理攻撃技で発生するダメージ、「ミラーコート」は特殊攻撃技で発生するダメージが対象となる。
なお、「めざめるパワー」の分類は「ノーマル」で物理攻撃技なので中身の属性に関わらず「カウンター」で返せる。
また、変化技の「オウムがえし」「ゆびをふる」「ねごと」で繰り出した攻撃技に関してはどちらの対象にもならない。
(※ちなみにPBSでは「ころがる」「あばれる」「げきりん」「はなびらのまい」の1発目を受けたポケモンでなければ、それ以降の攻撃を返せない)
このほかに技の種類は選ばないが、発動に2〜3ターン(※PBSでは1〜2ターン)かかる「がまん」などもある。
251種類のすべてのポケモンに1対1で勝てるポケモンは
タイプ相性システムにより存在せず、必ず不利な対面が訪れる。
そんなとき、
ターンの選択肢として《(わざを選んで)
たたかう》の他に《(別の)
ポケモン(に入れ替える)》がある。
そもそも不利対面で敵に背中を向けて
一方的にダメージを受けるというリスクを負ってまで入れ替える必要はあるのだろうか?
対峙したポケモンが不利な場合は、
自分のポケモンを捨てて、健康なポケモンをノーダメージで交代させた方が良いだろうか?
ポケモンの交代には大きく分けてこのように2種類あり、前者の交代は
受け出し、後者の交代は
捨て出しと筆者は呼んでいる。
受け出しを選択することの重要性を理解するために
受け出しの選択肢をお互い選べないものと仮定して考えると理解が進む。
捨て出しのみならば、
相手のポケモンが場に残っているとき、確実に有利なポケモンを場に対峙させることができるため、
受け出しが完全に封じられると0ターン目に登場する先鋒のポケモンで有利対面となったトレーナーが圧倒的に有利になる。
これを解消するゲームシステムこそが
受け出しなのである。
受け出しを機能させるには、
受け出ししたターンに殴られた体力からでも殴られたポケモンに当然殴り勝てる必要がある。
【 2対2における有利な受け出し 】
- 先攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 ≧ 自分が相手を倒すまでの必要ターン数+(受け出しターン)
- 後攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 > 自分が相手を倒すまでの必要ターン数+(受け出しターン)
また、
捨て出しを機能させるには、
後続のポケモンが捨て出しで犠牲になったポケモン分の仕事数をこなせる必要がある。
【 2対2における有利な捨て出し 】(※「りゅうのまい」「ちょうのまい」などが登場する後の世代以降が主流)
- 捨て出しで召喚される側の後続のポケモンが2匹以上のポケモンを倒す(※相打ち除く)
(※なお、捨て出しするために居座ってみたが、相手が敢えて倒さず「のろい」などを積まれて後続でも手に負えなくなったなんてことに注意)
これらのポケモンの交代の前後関係を理解した上で、2匹目以降のポケモン、すなわち入れ替え先を決めていきたい。
パーティの1匹目とそれが不利な場合の入れ替え先として用意される3匹までの組み合わせは
基本選出などとも呼ばれる。
また、お互いに
受け出し同士の試合(
サイクル戦)になるときは、
何回受け出しできるのかが勝敗を分けるポイントとなる。
公式ルールで戦闘に参加できる3匹のポケモンのうち、
受け出しできる回数が少ないポケモンから戦線を離脱することとなり、
戦線から脱落したポケモンが担当していた受けの対象となるポケモンを他のポケモンで処理できないとき、勝負を落とす。
なお、何回
受け出しできるかを競うサイクル戦のことを
ダメージレースとも呼ばれ、それは選出の判断材料にもつながる。
サイクル戦においては相手の選出した手持ちが自分の選出した手持ちより
受け回しできる回数が
少なければ、有利となる。
1対1の対面からでは勝てないものの受け出しのターンに行動不能にする眠りや凍りなどを仕掛けることができれば倒せる、
交代時にダメージを受ける
撒きびしで
受け出し時のダメージを増やして
受け出しできる回数を減らすなどの圧力をかけたい。
また、逆に「ねむる」などの
体力回復技をサイクル戦の中で使うことで自身の受け出しできる回数を延ばすこともできる。
特に短期戦で試合を決することができないと想定される場合は体力回復技も以下の条件を守って使えば採用の決め手となる。
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
ねむる | エ | - | 10 | 体力と毒・麻痺・火傷状態を全回復し、目覚めるまでの消費ターンが3の眠り状態になる。 |
じこさいせい | ノ | - | 20 | 最大HPの1/2の体力を回復する。 |
タマゴうみ | ノ | - | 10 | 最大HPの1/2の体力を回復する。 |
ミルクのみ | ノ | - | 10 | 最大HPの1/2の体力を回復する。 |
あさのひざし | ノ | - | 5 | 最大HPの1/2の体力を回復する。天候によって回復量が変化し、快晴のときは2倍、大雨・砂嵐のときは1/2倍になる。 |
こうごうせい | 草 | - | 5 | 最大HPの1/2の体力を回復する。天候によって回復量が変化し、快晴のときは2倍、大雨・砂嵐のときは1/2倍になる。 |
つきのひかり | ノ | - | 5 | 最大HPの1/2の体力を回復する。天候によって回復量が変化し、快晴のときは2倍、大雨・砂嵐のときは1/2倍になる。 |
【 体力回復技の有効化 】
- 「ねむる」(最大HPの1/1回復)の場合:受け出し時に最大HPの1/4のダメージを超える場合は回復する意味がない。
- 「ねむる」を使用して最大HPの1/1を回復(眠りの消費:0→3) (←全体のターン終了時に「はっかのみ」「きせきのみ」が発動)
- ぐうぐう ねむっている(眠りの消費:3→2)
- ぐうぐう ねむっている(眠りの消費:2→1)
- 目覚めて技を使用する(眠りの消費:1→0) (←ぐうぐう ねむっている ターンに「ねごと」で反撃できるなら不要)
- 「ねむる」以外(最大HPの1/2回復)の場合:受け出し時に最大HPの1/2のダメージを超える場合は回復する意味がない。
《 WARNING! : 受けの対象より後攻の場合の「ねむる」は更に1ターン耐える必要がある 》
ここで有効な
受け出しの定義を振り返ろう。先攻の場合と後攻の場合とでは微妙に条件が違っていた。
- 先攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 ≧ 自分が相手を倒すまでの必要ターン数+(受け出しターン)
- 後攻の場合:相手が自分を倒すまでの必要ターン数 > 自分が相手を倒すまでの必要ターン数+(受け出しターン)
有利な
受け出しとなるための
最低限の条件は、先攻を取れる場合と後攻となる場合とでは、
1ターン分差があった。
これは
受け出しをしながら「ねむる」で回復する場合も、先攻と後攻によって以下のように
1ターン分差が出る。
(ex. 4発耐えて5発目で倒れるポケモンの受け出しを加味した「ねむる」の流れ)
- 受け出しする(眠りの消費:3) → ダメージを受ける
- ぐうぐう ねむっている(眠りの消費:3→2)(※この間もダメージを受ける。自分が先攻ならこの後、後攻ならこの前)
- ぐうぐう ねむっている(眠りの消費:2→1)(〃)
- 目覚めて技を使用する(眠りの消費:1→0)(〃)
- ここで「ねむる」を使用できるか否か? → こちらが先攻なら可、こちらが後攻なら不可。
4発目を受けるターンで使用する技を「ねむる」にして敵のPPを枯渇する手もありますが、急所待ちになって崩れます(^^;
技による自分側の交代(バトンタッチ)
受け出しと捨て出しの中間的な交代。自分が先攻なら受け出しのように、後攻なら捨て出しのような交代になる。
技枠が勿体ないようだが、通常の交代では効果が消えてしまう一部の状態変化を味方に引き継がせることができる。
技による相手側の交代(ふきとばし・ほえる)
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
ふきとばし | ノ | 100% | 20 | 相手のポケモンを強制的に入れ替える。繰り出されるポケモンはランダム。ただし、後攻で繰り出せないときや相手側に控えのポケモンがいないときは技が失敗する。また、相手が空を飛ぶ状態のときでも命中する。 【優先度 -1】 |
ほえる | ノ | 100% | 20 | 相手のポケモンを強制的に入れ替える。繰り出されるポケモンはランダム。ただし、後攻で繰り出せないときや相手側に控えのポケモンがいないときは技が失敗する。【優先度 -1】 |
なんと、親切に(?)自分のターンをわざわざ消費して相手のポケモンをノーダメージ交代させてくれる技(^^;
(※ただし、既に撒きびしが撒かれていたり、砂嵐が持続中だとノーダメージ…というわけにはいかず、最大HPの1/8の定数ダメージをそれぞれ受けます)
主な使用用途は上述の状態変化&「バトンタッチ」などの場に居座る必要のあるコンボを封じる技として使われる。
ただし、「ふきとばし」を同時に打ち合った結果、先攻で繰り出された場合や入れ替え先がいなければ失敗する。
これを逆手にとって相手の「ふきとばし」「ほえる」を一方的に封じてしまうといったような立ち回りも取れる。
(※なお、技の優先度は眠り・凍り・ひるみ・混乱・メロメロ・麻痺などの行動不能に関わらず、技を選択した瞬間にその優先度に従って行動します)
受け出しを捨て出しに変更(おいうち)
技名 | 属性 | 命中率 | PP | 効果 |
おいうち | 40 | 100% | 20 | 攻撃対象のポケモンを場から引っ込めようとしたとき、ダメージが2倍になり、交代前のポケモンにダメージを与えられる。(※PBSのみ先制の「バトンタッチ」で交代した場合も交代後のポケモンに「おいうち」のダメージが2倍になる。) |
受け出しを選択したターンに「おいうち」を使われてしまうと入れ替える前のポケモンがダメージを受けてしまう。
悪属性の攻撃技で威力40だが、入れ替え時はダメージが2倍。悪弱点のエスパーやゴーストを狩る技として使われる。
リスクとリターンを考慮した技選び
ターンの仕組みにある通りだが、ポケモンの行動選択は9通り。また、任天堂の定めた公式ルールでは6通りとなる。
大きく分けると上記で解説した通り、場に居座ってたたかうを選ぶか、ポケモンの入れ替えを選ぶかの2通りになる。
サイクル戦で自分が有利対面となるとき、相手が受け出しすることを前提としたコマンド選択を交代読みと呼ぶ。
例えば、電気ポケモンのエレブーと水ポケモンのスターミーの対面で前者がタイプ相性の関係で有利対面の時に、
スターミーを居座らせてきた場合に2倍のダメージを与えられる「10まんボルト」や「かみなり」を敢えて選ばず、
受け出しで繰り出すであろう電気抵抗のある地面・草・ドラゴンポケモンに有効な「れいとうパンチ」を選んだり、
特殊耐久力が高く、「じしん」でエレブーに強いカビゴンに効く「クロスチョップ」を選ぶなどがそれに当たる。
しかし、その希望的観測に添わず、交代読みを読まれて居座ってきた場合どうなるのかをしっかりと考えておきたい。
「れいとうパンチ」や「クロスチョップ」はスターミーの水とエスパータイプによりともに半減されるようになり、
相手のタイプ一致かつタイプ相性等倍の「ハイドロポンプ」で大きなダメージを負ってその後の展開が不利になる。
このように有利対面のコマンド選択においても、居座ってきたときはどうなる、退いてきたときはどうなる、
それぞれの行末について考えを巡らし、そのリスクとリターンを測った上でコマンド選択することを心がけたい。
例えば、エレブーが有利対面になるポケモンが、スターミー、ヤドラン、ヤドキングなどの水ポケモンではなく、
飛行ポケモンで攻撃技が「ドリルくちばし」のみのエアームドの場合は場に居座ってきたときのリスクも小さい。
この場合は、ただの交代読みに終止せず、居座った場合でも退いた場合でもリスクが小さい安定した選択肢となる。
また、居座ってきても、退いてきたときも一貫してリターンが大きいと考えられる技を積極的に採用していきたい。
これらの技に該当するのは、ルール制限はあれど「ねむりごな」などの眠らせる効果のある技などがそれにあたる。
対戦に慣れて交代読みを華麗に使いこなせるようになったかなと勘違いしだす中級者はこれまで何人も見かけたが、
対戦の目的は無闇に交代読みを決めることではなく、「相手が右を選んでも左を選んでも詰ます=勝つ」ことである。